『イシューからはじめよ』は、コンサルティング会社マッキンゼー出身であり、脳神経科学の博士でもある安宅和人氏が提唱する、「知的生産性」を飛躍的に高めるための思考術です。本書は2010年に刊行された初版に大幅な加筆修正を施した改訂版であり、「なぜ今この思考法が必要なのか」「課題解決の2つの型」など、現代のビジネス環境に即した内容が新たに追加されています。
本書の中核となる概念は、「イシューからはじめよ」という一言に集約されています。ここで言う「イシュー」とは、単なる問題や課題ではなく、「本質的で、白黒がついておらず、かつ答えを出す価値のある問い」のことを指します。著者は、膨大な仕事や情報に囲まれている現代人に対し、「解の質」よりも「問いの質」=「イシューの設定」が成果を決定づけると強調します。
構成としては、「イシュードリブン」「仮説ドリブン」「アウトプットドリブン」「メッセージドリブン」の4つのプロセスを順に解説。単に問題を解くのではなく、まずは本当に解くべき問いを見極め、その仮説を構築し、検証し、最後にアウトプットとして伝える――という一連の知的生産プロセスが体系的に紹介されています。
特筆すべきは、その実用性の高さと、思考の整理ができる構造のわかりやすさです。図解や事例も豊富に盛り込まれており、抽象的な内容を具体的なアクションにつなげることができる点が、多くの読者から高く評価されています。さらに、研究者やビジネスパーソンだけでなく、学生や主婦など幅広い層に活用できる“汎用性の高い思考技術”としての魅力を備えています。
💬 読後の感想(約800字)
『イシューからはじめよ』を読み終えたとき、まず感じたのは「これほどまでに、自分は本質的でない問題に時間を使っていたのか」という気づきでした。日々の業務や生活の中で、私たちはつい目の前の「作業」や「気になること」に飛びつきがちですが、本書はその前に「そもそもこれは本当に考える価値のある問題か?」と問い直すことの重要性を教えてくれます。
特に印象的だったのは、“犬の道”という表現です。これは、がむしゃらに手を動かし続ける姿勢を批判する言葉であり、決して成果に結びつかない努力の罠を的確に表しています。この言葉が頭から離れず、それ以降、自分の仕事の進め方に対する反省と見直しが始まりました。
また、仮説思考の重要性を説いた第2・3章では、問題解決のためのフレームワークや図解によって、抽象的だった「考える」という行為が、具体的なスキルとして落とし込まれていきます。ストーリーラインや絵コンテの考え方は、資料作成やプレゼンの準備にも応用でき、実務レベルで即戦力になる内容でした。
本書は決して「読み終わって満足する」タイプの本ではありません。むしろ、読了後に何度もページをめくり直しながら、日々の仕事や生活に照らし合わせて再実践する――そうした“繰り返し使えるツール”のような書籍です。思考の癖を正し、より本質的な問いに集中するための指南書として、長く手元に置いておきたい一冊だと感じました。
🎯 おすすめしたい読者層
- 思考や行動に優先順位をつけるのが苦手な人
- 問題解決よりも「問題発見力」を養いたい人
- 忙しくても成果に結びつかないと感じているビジネスパーソン
- プレゼンや資料作成に時間がかかりすぎる人
- ロジカルシンキングを鍛えたい学生・研究者・起業家
⭐ 総合評価
| 評価項目 | 点数(5点満点) | コメント |
|---|---|---|
| 実用性 | ★★★★★ | 即日使える思考ツールが満載 |
| 読みやすさ | ★★★★☆ | やや抽象的な部分あり、再読推奨 |
| 独自性 | ★★★★★ | 問題設定へのフォーカスは唯一無二 |
| 普遍性 | ★★★★★ | ビジネス・研究・教育まで応用可能 |
| 再読価値 | ★★★★★ | 何度も読み返したくなる構成 |
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